Abstract : |
1993年1月から1996年6月の間に, 非リウマチ性の僧帽弁閉鎖不全症108例に外科治療を行った. 僧帽弁形成術(MVP)94例, 僧帽弁置換術14例であった. 弁尖の逸脱部位別にみたMVPの占める比率(MVP例/総数)は, 前尖92%(22/24), 後尖96%(47/49), 前後尖94%(15/16)であった. また, 活動期感染性心内膜炎では60%(3/5), MVP後の再手術では33%(3/9)であった. 手術手技, 遠隔成績, 術後の心調律と抗凝固療法について検討した. MVP後の再手術は2例であった. 他に心臓超音波により3/4度の僧帽弁閉鎖不全残存を6例に認めたが, 臨床症状がないため経過観察を行っている. その他の弁関連合併症としては, 血栓塞栓症を3例に認めた. いずれも術後1年以内で後遺症を残さなかった. 術後42カ月のevent free rateは80.4%であった. MVPとmazeの同時手術を心房細動39例中36例に行い25例が正常洞調律に回復した. ワーファリンによる抗凝固療法を行っているのは6例のみであった. 最近3年半の非リウマチ性の僧帽弁閉鎖不全症において, 全体として87%にMVPを行った. 活動期感染性心内膜炎と再手術例を除く逸脱病変では, 部位にかかわらず90%以上(全体で94%)にMVPが可能であった. MVP例の91%は満足のいく僧帽弁の修復が行えた. またmaze手術をMVPと同時に行うことにより術後の洞調律例は増え, 術後のquality of lifeは向上したと思われる. |