アブストラクト(45巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腔鏡下に胸管クリッピング術を施行した肺癌術後乳糜胸の1例
Subtitle :
Authors : 東条尚, 根津邦基, 櫛部圭司, 高濱誠, 北村惣一郎
Authors(kana) :
Organization : 奈良県立医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 8
Page : 1102-1106
Year/Month : 1997 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌術後の乳糜胸に対して胸腔鏡下に胸管のクリッピングを行い乳糜胸を治癒しえた. 症例は62歳, 男性. 1995年12月8日, 第11胸椎に浸潤した右肺S10に存在する扁平上皮癌に対して右肺下葉切除, 第11, 12胸椎椎体部分切除, R2aリンパ節郭清を施行した. 術翌日から時間約100mlの乳白色胸水を認めたため乳糜胸と診断し絶食, 高カロリー輸液を開始した. しかし術後1週間経過した後も1日1,000mlを越える胸水が持続するため, 同年12月15日胸腔鏡下手術を施行することとした. 全身麻酔下に胃管挿入後, 牛乳を約100ml注入(2回追加注入し総量450ml注入した). 胸腔鏡下に第11胸椎の付近に胸水の貯留を認め, 牛乳注入後約1時間後から胸水が白色化してきたため, 漏出部である胸管瘻孔部を同定できた. この損傷部の中枢側と末梢側にクリップをかけて瘻孔を容易に閉鎖しえた. 胸腔鏡下に行った本手術は低侵襲のため, 肺癌術後の乳糜胸で保存的治療が奏効しない場合には勧められる方法であり, 早期に施行すべきであると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳糜胸, 肺癌, 胸腔鏡下手術, 胸管クリッピング
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