| Authors ： |
中道司, 加藤木利行, 上田敏彦, 饗庭了, 安戸幹人, 長泰則, 木戸正訓*, 尾本正, 川田志明 |
| Abstract ： |
大動脈縮窄症(CoA)及び大動脈弓離断症(IAA)の大動脈再建術後の再狭窄に対する再手術法はいまだ確立していない. CoA及びIAAの術後再狭窄に対する小児期の再手術法として非解剖学的バイパス手術(以下EAB)の有用性を検討した. 症例は4例, 年齢は4歳から12歳, 全例生後2カ月以内に初回手術を受けている. 初回手術法は, CoAの2例に対して6mm人工血管置換及びsubclavian flap法, IAAに対してはB型の1例に5mm人工血管による再建, A型の1例にBlalock-Park手術であった. 再手術の適応病変は, 人工血管による再建後の成長に伴う相対的狭窄(2例), パッチ形成術による再手術後の再狭窄(2例, うち1例に経皮的バルーン拡張術追加)である. 全症例にカテーテル検査による圧較差の増大及び安静時の上肢高血圧(140～190mmHg)を認め, 運動負荷試験を施行した2例で右上肢最高血圧290mmHg以上であった. 再手術法は, 胸腹部正中切開のみで部分体外循環下に人工血管(12mm～18mm)による上行大動脈-腹部大動脈のEABを造設した. 手術成績及び遠隔成績ともに良好で, 全症例で術後カテーテル検査による圧較差及び安静時の高血圧は是正され, 運動負荷試験を施行した2例で右上肢最高血圧が200mmHg以下に是正された. 術後8カ月から11年間の観察で全例生存し, 内服治療を必要とせず安静時血圧は140mmHg以下で, 日常生活に制限を認めない. EABはCoA及びIAAの術後再狭窄で直達再手術のリスクの高い小児例に対する再手術法として, 安全且つ確実な圧較差の是正が可能な術式である. |
