Abstract : |
胸腔鏡補助下肺葉切除(VATS肺葉切除)の適応にコンセンサスは得られていない. 本術式におけるリンパ節郭清が, その適応を決定するにあたり重要である. 臨床病期I期の非小細胞肺癌に対して標準開胸による肺葉切除を施行した59例(C群)と, VATS肺葉切除を施行した26例(V群)を対象にし, 切除された部位別の個数を比較した. 右肺癌の肺門リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なく, 葉間リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で少ない傾向にあった. 右肺癌のその他のリンパ節レベルでは, 両群間に差はなかった. 左肺癌の気管傍, 気管前, 気管気管支, 及び気管分岐下リンパ節で, 郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なかった. 右肺癌と同様に, 肺門リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なく, 葉間リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で少ない傾向にあった. 左肺癌のその他のリンパ節レベルでは, 両群間に差はなかった. リンパ節郭清は, (1)正確なステージングを行う意義と, (2)予後を改善せしめる効果を期待するという2つの意義がある. リンパ節郭清に治療的意義を求めるならば, その適応は少ない. もし, リンパ節郭清に治療的意義を求めず, 正確なステージングのみを求めるとすると, その適応はかなり多い. VATS肺葉切除の適応は, リンパ節郭清にいかなる意義を持たせるかによって異なる. |