アブストラクト(45巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腔鏡下肺葉切除のリンパ節郭清は標準開胸のそれに劣る
Subtitle :
Authors : 杉和郎, 藤田信弘, 上田和弘, 縄田浩一, 田中俊樹, 松岡隆久, 金田好和, 江里健輔
Authors(kana) :
Organization : 山口大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 10
Page : 1701-1705
Year/Month : 1997 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腔鏡補助下肺葉切除(VATS肺葉切除)の適応にコンセンサスは得られていない. 本術式におけるリンパ節郭清が, その適応を決定するにあたり重要である. 臨床病期I期の非小細胞肺癌に対して標準開胸による肺葉切除を施行した59例(C群)と, VATS肺葉切除を施行した26例(V群)を対象にし, 切除された部位別の個数を比較した. 右肺癌の肺門リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なく, 葉間リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で少ない傾向にあった. 右肺癌のその他のリンパ節レベルでは, 両群間に差はなかった. 左肺癌の気管傍, 気管前, 気管気管支, 及び気管分岐下リンパ節で, 郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なかった. 右肺癌と同様に, 肺門リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で有意に少なく, 葉間リンパ節で郭清されたリンパ節個数はC群よりV群で少ない傾向にあった. 左肺癌のその他のリンパ節レベルでは, 両群間に差はなかった. リンパ節郭清は, (1)正確なステージングを行う意義と, (2)予後を改善せしめる効果を期待するという2つの意義がある. リンパ節郭清に治療的意義を求めるならば, その適応は少ない. もし, リンパ節郭清に治療的意義を求めず, 正確なステージングのみを求めるとすると, その適応はかなり多い. VATS肺葉切除の適応は, リンパ節郭清にいかなる意義を持たせるかによって異なる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, VATS, 手術適応, 根治性, ステージング
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