Abstract : |
小児開心術におけるアプロチニン投与の出血量減少効果につき, ファロー四徴症手術症例で検討した. 体外循環中にアプロチニンの投与を行ったファロー四徴症手術連続21例(A群)における術中, 術後出血量, 手術時間などを, それ以前のアプロチニン非投与ファロー四徴症手術20例(C群)を対照として比較検討した. 先行手術としてBlalock-Taussig手術施行例はA群15/21(71%), C群8/20(40%)とA群に多く, 根治手術術式としてtransannular patchを用いた症例についてはA群7/21(33%), C群4/20(20%)とA群に多い傾向がみられた. A群, C群いずれにも再開胸止血術症例や手術死亡例はなかった. CPB終了後の術中出血量はA群226±154, C群339±189ml, 術中総出血量はそれぞれ295±166, 436±249mlといずれもC群に比し, A群で有意に少なかった. 術後24時間のドレーン出血量, ドレーン留置日数についてはA, C群間で差はなかった. CPB終了後の手術時間はA群112±18, C群140±23分, 総手術時間はA群371±44, C群419±79分といずれもC群に比し, A群で有意に短かった. 以上から, 小児期ファロー四徴症手術においてもアプロチニン投与は良好な出血量減少効果をもたらし, 輸血量の削減, 手術時間の短縮などに有用であると考えられた. |