アブストラクト(45巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児体外循環における充填液透析処置と回路血持続透析の役割について
Subtitle :
Authors : 野村耕司, 山岸正明, 中村譲
Authors(kana) :
Organization : 埼玉県立小児医療センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 11
Page : 1792-1796
Year/Month : 1997 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児・乳幼児体外循環における人工心肺充填液に対する透析処置(以下, 透析前処置)及び回路血に対する持続透析の効果について比較検討した. 透析前処置のみを行った8例を透析I群(HD-I群), 透析前処置に加えて回路血持続透析を行った8例を透析II群(HD-II群), どちらも行わなかった8例を対照群(C群)とした. 手術時年齢はHD-I群3.0±4.2カ月, HD-II群3.9±5.0カ月, C群3.3±3.4カ月(NS). 体重はHD-I群4.2±1.7kg, HD-II群4.3±1.8kg, C群4.5±1.6kg(NS). 体外循環中総尿量はHD-I群2.3±2.3ml/kg/時, HD-II群2.9±3.0ml/kg/時, C群1.8±1.5ml/kg/時と透析群(HD-II群)でより多い傾向を示した. 体外循環開始0, 5, 10分後の平均灌流圧は, C群では32.5mmHg, 29.0mmHg, 32.7mmHgとinitial dropを認めたのに対して, HD-I群では35.8mmHg, 35.6mmHg, 37.3mmHg, HD-II群でも38.1mmHg, 37.4mmHg, 38.2mmHgと安定していた. 体外循環中の水分バランスはHD-I群で-22.9±29.2ml/kg, HD-II群では-24.0±45.3ml/kgであり, 一方C群では+11.7±20.7ml/kgであり, HD-I及びHD-II群で有意(p<0.05及びp<0.04)にマイナスバランスとなった. 体液管理が肝要となる新生児・乳児体外循環において透析前処置は尿量維持, 灌流圧の安定化, 水分平衡維持などの効果があり, 回路血持続透析は長時間の体外循環下で透析前処置に併用することにより, 効果は増強されることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 充填液透析処置, 回路血持続透析, 開心術
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