アブストラクト(45巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 内胸動脈グラフトの血流動態評価における鎖骨上窩アプローチによる経皮的パルスドプラー法の有用性-ドプラーカテーテル法との比較検討-
Subtitle :
Authors : 古谷保博, 高橋俊樹, 今川弘, 谷口和博, 門場啓司, 松田暉, 有沢淳*, 東将浩*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 11
Page : 1803-1809
Year/Month : 1997 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 内胸動脈(ITA)グラフトの血流動態評価を鎖骨上窩アプローチによる経皮的パルスドプラー法(PD法)を用いて行い, その有用性をドプラーカテーテル法(DC法)との比較において検討した. 対象としたITAグラフトは冠状動脈バイパス術後近接期の20本で, この内18本(90%)がPD法により検出可能であった. 血流パターンの指標として拡張期収縮期最大流速比(DSVR)と時間速度面積拡張期分画(DF)を算出した. また, 同一症例に対しDoppler flowireを用いたDC法により安静時及びペーシング負荷時(安静時の約1.5倍)のDSVR, DFを算出した. PD法により算出したDSVR, DFはDC法の安静時の値と良好な正の相関を示した(DSVR:R=0.66, p<0.01, DF:R=0.79, p<0.01). 次に対象のうち吻合部狭窄やstring signを認めた5本をA群, 残る13本をB群に分け, 血流パターンの差異をPD法及びDC法を用いて検討した. 安静時DSVR, DFはPD法, DC法ともにA群がB群に比し有意に低値を示した(p<0.01)が, B群においてもDSVR, DFが低値を示すグラフトが存在した. しかし, ペーシング負荷を用いてDC法により測定したDSVR, DFはA群ではB群に比しいずれも有意に低値(p<0.01)であり, しかも安静時に比し両群の差異が顕著となった. 以上よりPDによるITAグラフト血流評価法は非侵襲的でかつ検出率も高く, またその動態指標もDC法のそれと良好に相関したことより, 臨床上有用な方法であると考えられた. 更に, 本法は何らかのinterventionを併用することで臨床上より有用性の高いものになることが期待される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 内胸動脈, グラフト血流動態, パルスドプラー法, 鎖骨上窩アプローチ
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