アブストラクト(45巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環中ヘパリン濃度測定の意義-ヘパリンコーティング回路及び常温体外循環使用例における検討-
Subtitle :
Authors : 小宮達彦, 伴公二, 山崎和裕, 石井修, 中村智宏, 神崎義雄
Authors(kana) :
Organization : 倉敷中央病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 11
Page : 1810-1815
Year/Month : 1997 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ヘパリンコーティング回路の使用と常温体外循環は, 最近の心臓外科手術におけるトレンドであるが, 体外循環中のヘパリン投与方法については再考の必要があると思われる. ヘパリンコーティング回路及び常温体外循環を使用した開心術20症例を対象に体外循環中ヘパリン濃度測定の意義について検討した. ヘパリンは患者に300IU/kg投与し, 体外循環中はACTを400秒以上に保つように追加投与を行った. ヘパリン濃度測定にはHepcon/HM(Medtronic HemoTec社製)を用い, ヘパリン投与前にヘパリン感受性テスト(Heparin Dose Response(HDR))を行った. これはin vitroにおけるACTが480秒となるような推定ヘパリン濃度である. 体外循環中のヘパリン濃度コントロールの良否を表現する指標としては, 体外循環中平均ヘパリン濃度/HDR(HC/HDR)を用いた. この指標と凝固線溶系指標, 術後出血量との関連の有無を検討した. HC/HDRと体外循環終了直前の凝固線溶系指標では, Fibrinogen degradation products E(R=-0.52), D dimer(R=-0.45), Thrombin antithrombin complex(R=-0.54), 血小板数(R=0.44), Antithrombin III(R=0.50)との問に有意な相関関係を認めた. 術後24時間出血量とHC/HDRとの間には一定の関係は認められなかった. 以上よりヘパリンコーティング回路使用時といえども, 従来のACTに基づいたヘパリン投与方法では常温体外循環での血液凝固線溶系の抑制が不十分な症例が認められ, HC/HDRを高めに維持するような投与方法が望ましいことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ヘパリン濃度, 常温体外循環, ヘパリンコーティング回路, 凝固線溶系
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