アブストラクト(45巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 培養心筋細胞を用いた低酸素環境下心保存における至適心筋温に関する実験的研究
Subtitle :
Authors : 内野英明, 島崎靖久
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 11
Page : 1833-1839
Year/Month : 1997 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 培養心筋細胞を用いた低酸素環境下心保存における至適心筋温を見い出すことを目的として, 新生仔ラット摘出心より分離した培養心筋細胞を用いて, 低酸素環境下での種々の培養温度下における心筋細胞障害について比較検討した. 培養器内の温度を4℃, 10℃, 15℃, 20℃, 25℃, 37℃とし, 2%O2の低酸素環境下にて24時間培養した. 24時間培養後の拍動回復率(%)は4℃群は0, 37℃群で34.5±5.0と他の4群(10℃:69.5±10.4, 15℃:81.0±2.4, 20℃:89.6±3.6, 25℃:75.4±8.7)に対し, 有意に低値であった. 培養液中へのCPK, LDHの逸脱(mIU/flask)は4℃群でCPK値は197.1±18.9, LDH値は1,395±197.3, 37℃群でCPK値は138.6±24.9, LDH値は1,201±90. 5とやはり他の4群に比し有意に高値であった. 10, 15, 20, 25℃の4群における低酸素培養時間を48時間に延長させたところ, 拍動回復率は20℃群で83.7±6.6%と他の温度群に対し有意に高値であった. CPKの逸脱は20℃群で33.1±5.0mIU/flaskと10℃群, 15℃群に対し有意に低値であったが, 20℃群, 25℃皆野に有意差は認められなかった. LDHの逸脱は20℃群で550.3±70.1mIU/flaskと他の温度群に比し有意に低値であった. 以上より, 低酸素環境下培養時に最も細胞障害を抑えられる心筋温は20℃前後であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 培養心筋細胞, 心筋保護, 心保存, 至適心筋温, 低酸素
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