アブストラクト(45巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 上行大動脈粥状硬化性病変の術中エコー評価と手術戦略
Subtitle : 原著
Authors : 保坂茂, 鈴木章司, 加藤淳也, 佐々木啓明, 大沢宏, 福田尚司, 片平誠一郎, 吉井新平, 神谷喜八郎, 多田祐輔
Authors(kana) :
Organization : 山梨医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 12
Page : 1916-1921
Year/Month : 1997 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓手術時の上行大動脈操作に起因する脳梗塞などのアテローム塞栓を回避するための安全な手術手技確立を目的として, 術中エコーで上行大動脈壁を評価し, エコー所見と術式との関連から本検査法の意義を検討した. 対象は, CABG及び60歳以上の開心術55例(平均67.7±6.9歳, 弁疾患12例, 虚血性心疾患単独ないしは弁疾患合併例43例)で, 緊急手術2例を含むCABGの7例(13%, 71.0±6.9歳)に内膜に連続して内腔へ不整隆起状に突出した粥状硬化病変を認めた. 上行の広範病変の3例は弓部送血とし, 上行から学部までの前壁広範病変の1例で大腿動脈送血とした. このうち2例で心室細動下でin situ動脈グラフトのみのCABGを行い, 他の2例は非病変部上行大動脈を遮断してsingle clamp法で静脈グラフト中枢吻合を行った. 限局性病変の3例中2例で部分遮断鉗子を用いて静脈グラフト吻合を行ったが, うち1例で脳梗塞を発症したので, 他の1例では手術操作部位を病変より十分(2cm程度)離す方針で, 弓部送血とsingle clamp法によりCABGを行った. 脳梗塞の1例は後遺症なく回復し, 他の6例も合併症を認めなかった. これら粥状硬化病変はCT上の石灰化病変との関連を認めたが, 造影CTで確認できたのは1例のみであり, 上行大動脈の粥状硬化病変診断のスクリーニングとしてはCTは不十分であった. アテローム塞栓予防には, 術中エコーにより病変を直接観察し, 病変の正確な部位や伸展度及びその性状から, これら病変に手術操作が及ばないような手術戦略を立てることが必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術中エコー, 上行大動脈, アテローム塞栓, 脳梗塞
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