アブストラクト(45巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心タンポナーデを初発症状とした浸潤型胸腺腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 田中亨, 片倉浩理*, 松本成司, 前里和夫
Authors(kana) :
Organization : 市立岸和田市民病院呼吸器科, *京都桂病院呼吸器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 12
Page : 1968-1971
Year/Month : 1997 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腺腫は, 通常無症状で, 偶然胸部X線写真にて発見されることが多い. 心タンポナーデを初発症状とするものはまれである. 今回, 心タンポナーデを初発症状として発見された浸潤型胸腺腫を経験したので文献的考察を加えて報告する. 症例は68歳, 男性. 乾性咳嗽, ジョギング時の息切れが増悪し, 呼吸困難を生じ, 全身浮腫も出現したため, 近医を受診した. 心不全を疑われ, 本院内科に緊急入院となった. 胸部X線写真, 心エコー, 胸部CTより, 縦隔腫瘍, 心タンポナーデと診断した. 心不全に対する内科的治療の後, 縦隔腫瘍の外科治療目的で当科紹介となった. 胸骨正中切開で開胸し, 胸腺, 心膜, 肺の一部を含め, 腫瘍を摘出した. 心嚢内, 左側胸腔内に播種は認めなかった. 心嚢水は血性で, 細胞診は陰性であった. 明らかな出血点は認めなかった. 切除標本より混合型胸腺腫の心嚢内直接浸潤と診断した. 胸腺腫は, 前縦隔腫瘍として発生頻度が高いが, 多くは無症状で, 特に重症筋無力症非合併例では, 胸部写真で偶然発見されることが多い. 今回, 心タンポナーデを初発症状として発見された浸潤型胸腺腫を経験したので文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺腫, 心タンポナーデ, 大動脈浸潤, 肺動脈浸潤, 心膜浸潤
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