Abstract : |
症例は51歳, 女性. 全身倦怠感があり, 更年期障害疑いで精査したところ, 血清Ca, intact-PTH及び高感度PTH値が異常高値を示し, 副甲状腺機能亢進症と診断された. 頸部には異常を認めなかった. 画像上, 右後上縦隔に径4cmの腫瘤影が存在し, 副甲状腺シンチで同部位に集積像を認め, 縦隔内副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症と診断された. 腫瘍は上大静脈, 迷走神経, 奇静脈, 腕頭動脈に囲まれており易出血性であったが, 胸腔鏡下に腫瘍を切除し得た. 術後第5病日に退院し, 術後3ヵ月目には血清Ca, intact-PTH及び高感度PTH値はほぼ正常化した. 病理組織学的には, 腫瘍は副甲状腺腺腫で嚢腫状に変性したものであった. 縦隔内副甲状腺腺腫の胸腔鏡下切除例はないことから報告した. 縦隔腫瘍の中で副甲状腺腺腫はまれであり, 特に嚢腫状に変性したものは非常に少ない. われわれは副甲状腺機能亢進症を来した本腫瘍を胸腔鏡下に切除し, 副甲状腺機能の正常化を得た. 縦隔内副甲状腺腺腫の胸腔鏡下切除例はないことから, 文献的考察を含めて報告する. |