アブストラクト(45巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 非浸潤性胸腺腫術後肺転移の1例 -核DNA量の解析と病理組織学的検討-
Subtitle : 症例
Authors : 則行敏生, 吉岡伸吉郎, 片岡健, 柴田諭, 宮田義浩, 土肥雪彦
Authors(kana) :
Organization : 広島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 12
Page : 1998-2002
Year/Month : 1997 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 腫瘍増大速度及び浸潤性の異なる2個の肺転移を来した非浸潤性胸腺腫の1手術症例を経験した. 肺転移巣は左上葉と左下葉にそれぞれ1個存在し, 転移巣の腫瘍倍加時間は, 上葉が834.1日, 下葉が328.3日であり, 下葉の転移巣は気管支内に浸潤していた. これら転移巣の性質の相違を病理組織学的所見と核DNA量から検討した. 原発巣, 転移巣ともに混合型胸腺腫であったが, 上皮細胞形態では, 原発巣, 下葉の転移巣は皮質型であり, 上葉の転移巣では一部に紡錘型細胞を認めた. 核DNA量では, 原発巣はaneuploid, 転移巣は共にdiploidであった. 本症例は被膜浸潤のない胸腺腫が肺への遠隔転移を来した非常に稀少な症例であり報告する. 胸腺腫は本邦では最も頻度の高い縦隔腫瘍であり1), 局所進展する性質が強く, 遠隔転移を来すものは少い傾向がある2). 今回, われわれは被包型胸腺腫摘出後, 腫瘍増大速度及び浸潤性の異なる2個の肺転移を来した症例を経験した. この転移巣の性質の相違を病理学的所見と核DNA量から検討を行ったので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺腫, 肺転移, 核DNA量, 腫瘍倍加時間
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