アブストラクト(45巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 後縦隔から頸部に発生した侵襲性線維腫症(aggressive fibromatosis)の1切除例
Subtitle : 症例
Authors : 吉田成利, 木村秀樹*, 岩井直路*, 安福和弘, 山口豊, 高原善治**
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学肺癌研究施設外科, *千葉県がんセンター呼吸器科, **船橋市立医療センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 12
Page : 2016-2020
Year/Month : 1997 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 頸部から後縦隔に発生した比較的まれな腫瘍である侵襲性線維腫症(aggressive fibromatosis)の1切除例を経験したので報告する. 症例は50歳, 女性. 右肩痛, 放散痛を主訴に来院した. 画像上, 右椎骨動脈を取り囲み, 腕神経叢, 周囲筋組織に浸潤する腫瘍を認めた. 経皮針生検にて神経原性腫瘍を疑い手術を施行した. 鎖骨上縁, 胸骨縦切開にて開胸し, 椎骨動脈と腕神経叢の一部を合併切除し, 腫瘍を摘出した. 病理組織学的には侵襲性線維腫症の診断であった. 本腫瘍は転移を来すことはないが周囲組織へ浸潤性に発育するという特性をもつため再発率が比較的高い. 特に頭頸部領域は解剖学的に外科的切除線が十分とれないため術後の再発が重要な問題である. 本症例でも切除断端と腫瘍の距離が十分でなかったため術後60Gyの放射線照射を施行した. 現在まで再発は認めないが, 引き続き長期間経過観察が必要と思われた. 侵襲性線維腫(aggressive fibromatosis)は腹壁外デスモイドともいわれ腹壁以外の骨格筋を侵し, しばしば局所再発を繰り返す. 今回われわれは後縦隔から頸部に発生した侵襲性線維腫症の1切除例を経験したので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 侵襲性線維腫症, デスモイド
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