Abstract : |
症例は33歳, 男性. 右上肢の痛み, 冷感のため近医受診. 当院搬送時右上腕動脈以下の動脈拍動は消失していた. 胸部X線写真では第一肋骨が前方で第二肋骨と癒合する異常を認めた. 動脈造影では右鎖骨下動脈瘤と腋窩動脈の閉塞を認め, 緊急血栓除去術を施行し血流の再開を得た. ヘパリン等により抗凝固療法を施行したが, 再閉塞を来したため異常第一肋骨切除術及び血栓除去術を施行し良好な結果を得た. 動脈の急性閉塞を主症状とする胸郭出口症候群はまれであり文献的考察を加え報告する. 頸部から胸郭上部にかけての斜角筋群, 索状異常構造物, 肋骨, 頸肋等により腕神経叢, 鎖骨下動静脈が圧迫される病態は胸郭出口症候群と総称される. 第一肋骨の異常によって鎖骨下動脈瘤を生じ, 腋窩動脈の急性血栓閉塞を来した胸郭出口症候群の1例を経験したので報告する. 「症例」症例:33歳男. 主訴:右上肢のしびれ, 冷感, 疼痛. 既往歴:10年前に高血圧, 糖尿病を指摘され, 1年前から内服治療中. 家族歴:特記すべきことなし. 両親健在. 現病歴:17歳頃から右手指にしびれを自覚することが数回あったが症状はごく軽く自然消失するため放置していた. |